―出逢い〈6〉―



翌日、ルネは村はずれの教会に来ていた。

半年間とはいえ、修道院での祈りと労働の生活は、すっかり彼女の身体の中に染みついてしまったようだ。実家に連れ戻されて以降はよく遠乗りと称して、こうして村はずれの教会に来ては祭壇に祈りを捧げるのが、彼女の日課となっていた。

この日も彼女は教会の厩に馬をつなげると、礼拝堂の中に入って行った。日の光を受けたステンドグラスが、幻想的に教会の中を照らす。ルネは誰もいない礼拝堂の、祭壇に一番近いテーブルに腰かけると、手を組んで静かに目を閉じた。

しんと静まり返った礼拝堂には、時折外から葉ずれの音や鳥の声が微かに響いてくる。その静けさに誘われて、ルネは次第に深い物思いに沈んでいった。


仇を討ったと聞いても喜べない―その事実に、彼女は愕然としていた。それは、己の半生を恋人の敵討ちに捧げた彼女にとって、衝撃的な事だった。

ルネは心の中で自問する。

―私のしたことは、間違っていたのだろうか…。

トレビルから、ダルタニャン達が自分の仇を討ったと聞いたとき、真っ先に心に浮かんだのは「なぜ?」という疑問詞だった。

―あの時私はまだ生きていた。なぜ助けてくれなかったのだろう?

―なぜ、彼らはもうしばらくあの場に留まってくれなかったのか。そうすれば私が生きているのか死んでいるのか、はっきり分かったはずなのに…。

―あの後も私はしばらく修道院にいたが、彼らの内一人でも墓参りなり様子を見になり来てくれることはなかった。なぜ来てくれなかったのか。仇を討って…それで終わりなのだろうか?


そして思う。フランソワは、果たして私が彼の仇を討つことを望んでいたのだろうか、と。

―敵討ちなんて、所詮は残された者の、ただの自己満足なだけなのかもしれない…。


そんな考えが胸の中に湧き上がって来たとき、ふと祭壇の方に人の気配がした。


目を開けると、そこには黒い衣服に身を包んだ、長髪の男が立っていた。


「あなたは…!」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「おや、貴女は…」

祭壇の隣に設えてある、司祭の住居と繋がる扉を開けると、祭壇に近い最前列の席に座って祈りを捧げている女性の姿が目に入った。神父は―かつてアラミスと呼ばれた彼は、思わず目を見開いた。

いつだったかベチューヌで、自分が介抱した女性だったからだ。

ベチューヌというと、忌まわしい事件を思い出す。友人の恋人があの地の修道院で毒殺された事件―それまで世俗と信仰の道との間をフラフラしていた自分が、ついに信仰の道に戻ることを決意するきっかけとなった事件だ。

それとほぼ瓜二つの事件が1年ほど前、自分の目の前で繰り広げられたのには驚きを禁じ得なかった。彼女に微かに息があるのに気付き、同行していた司祭に蘇生を試みるよう進言したのは、あの時の悔恨の念からなのか、自分でも良く分からなかったが、もしかしたらあの時、友人の剣幕に気圧されず適切な対処ができていれば、助けられたのではないか、という思いがあるのも事実だった。

なぜなら、あの夫人は毒を飲んだあともしばらくの間、自分達と会話ができていたし、何より「ミレディの作る毒に解毒剤はない」というアトスの言葉には、今思い返すと信憑性がなかったように思えてならないからだ。

だから、果たしてあの時あの女を、感情に任せてアルマンティエールで処刑する必要があったのか、と時々疑問に思うときがあった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あなたは…!」

祭壇の方から発せられた女の声に、アラミスは我に返った。

―いずれにせよ、あの女が色々と罪を犯していたのは事実なのだ。この世の出来事には神の思し召しが下される。あの女は神の意志によって罰せられた。俺達はそれにただ手を貸しただけだ。

そう気持ちに区切るをつけると、彼はにこりと笑い、彼女の方に歩み寄った。

「随分とご熱心にお祈りをしていらしたようですね。お邪魔をしてしまいましたか?」

「いえ、そんなことは…」ルネは立ち上がると、神父に向かって会釈をした。「その服…神父様におなりあそばしたのですね!おめでとうございます」

あの時は修道士特有の、ゆったりとしたローブ状のトゥニカを着ていたが、今は襟の詰まった黒いスータンを着ている。

アラミスは身振りで、彼女に椅子に座るよう促した。

「それにしても、随分とご無沙汰ですね」彼女が自分も座れるよう、空けてくれたスペースに腰かけながらアラミスは言った。「お元気になられたようで何よりです。あれからどうしていたのですか?なぜ貴女がここに?」
「…それはその…叔父が…私の実家がこの辺りなものですから…」
「修道院は、辞められたのですか?」
「いえ、そういうわけでは…」

何をどう説明したらよいのか分からず言いよどんでいる彼女を見て、アラミスは優しく語りかけた。

「ここは私と貴女の他には神様しかいらっしゃいません。何も恐れる必要はありませんよ、ルネ」

黒い優しい瞳に見つめられ、ルネは柄にもなく安心感を覚えた。相手はほんの1年前に、ほんの少し言葉を交わしただけの男だ。そんな男に安心感を覚えるなんて…。出会った当初に覚えた微かな希望や同じ名を持つという親近感が、警戒心を解いてしまったのだろうか。ゆっくりと、ここに至るまでの顛末を語った。

「なるほど…それはお気の毒でしたね…」アラミスは慰め顔で言う。

そして当分の間、彼女が信仰の道に戻るのは難しそうだな、と思った。

成人男性ならともかく、未婚の女性が親や後見人の意向を無視して行動するなど、とてもできることではないのだ。

「正直、信仰の道に未練がないわけではないのです」ルネは言った。「できることなら今すぐにでも、教会の懐に飛び込みたいと思っています」
「ですが叔父上が反対されている」
「いえ、叔父の反対はどうでも良いのです」
「は?」

きっぱりとした口調に、アラミスは興味を覚えた。

「ええ、どうでも良いのです」ルネは続けた。「私はこれまで、他人に何を言われようと、自分の信じた道を歩んできました。例えそれがどんなに世間の常識とズレていることであっても…。今までの私だったら、叔父の反対を押し切ってでも、いえ、きっと叔父に黙ってこっそり家を抜け出し、修道院に駆けこんでいたことでしょう。でも、あの時の…ベチューヌでの出来事を境に、それで本当に良いのか、私がこれまでしたことは本当に正しかったのか、自分に自信が持てなくなって…」

と、突然、アラミスはくっくっくっと声を押し殺して笑い出した。ルネは、「こちらが真剣に悩んでいるのに…」とむくれる。

―『後見人の意見がどうでも良い』とは…面白い女性もいたものだな。

アラミスは心の中で呟いた。

「いや失礼」アラミスは笑いを堪えながら言った。「随分と難しく物事を考えるのだな、と思って」
「えっ?」
「簡単な事です。貴女は信仰の道に進みたい。だが今はまだ後見人の反対を押し切ってまで修道院に戻る決心がつかない。ならば、いつでもここにいらっしゃればいいじゃありませんか。私が手ほどきをしてさしあげますよ。そうすれば、貴女は信仰の道を深めることができるし、叔父上も貴女を手放すことなく、安心していられるでしょう」
「でも、それではそちらのご迷惑にならないでしょうか?」
「いえ全然!私は当分の間この村にいますから、貴女のご都合の良い時いつでもいらして下さって構いません」
「えっ?では、この村の司祭様になられたのですか?」

昨日までこの教会の司祭は別の神父だったことを思い出したルネが尋ねた。

「いえ、修道院ができるまで、この教会の司祭様のところでご厄介になっているのです。建設のための測量など、ここでやることが色々ありますからね。前にいた修道院から通うより、ここからの方が近いですから…」
「この近くに、修道院ができるのですか?」
「ええ。この近くに今は誰も住んでいない屋敷があるでしょう?あそこを修道院に改築することが決まったのです。以前は修道院だったそうですが、大分変っているので結構手間が…」
「え…っ!?」
「どうかされましたか?」

神父が怪訝そうに聞く。

「いえ…なんでもありませんわ…」

―以前は修道院だった屋敷…?まさか…あの屋敷が…?


ルネの心に、一抹の不安が生まれた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



翌日、ルネは村はずれの荒れ果てた屋敷に来ていた。

ここはかつてルイ13世の双子の弟フィリップ王子が匿われた場所。彼女がフランソワと初めて出会い、そして最期に別れた思い出の場所だ。

昨日教会から帰って叔父に確認したところ、デルブレー神父の言っていた屋敷は、間違いなくこの屋敷であることが分かった。

フランソワの死を目の当たりにして以降、つらい思い出のあるこの場所を訪れることはなかった彼女だったが、この屋敷が解体されると聞き、居ても立ってもいられずやって来てしまったのだ。

恐る恐る屋敷に足を踏み入れてみる。剣で切られたカーテンや緞子、戦いの最中に傷ついたのであろう調度品、さらには壁や床にこびりついた返り血などがそのままになっており、10年前の惨劇の様子がそのまま「保存」されていた。さらに人の手入れの入っていない屋敷の物悲しさが、より一層その凄惨さを増幅させていた。

彼女は、屋敷の一室にある聖母マリア像の前に跪いた。幼い頃、ここがまだ廃修道院だったとき、叔父の目を盗んでやってきた場所だ。マリア像に亡き母の面影を重ねた彼女はよくここに来ては、像に祈りを捧げていた。

あの時と同じように、彼女はマリア像の前で手を組み、目を閉じた。これまでの様々な思い出が蘇ってくる。幼き日、よくここを訪れたこと、フランソワとの出会い、そして別れ…。

大分長い間甘美な思い出に浸っていた彼女だったが、部屋の入口でした大きな物音で我に返った。

振り返ると、そこにはまるで亡霊でも見たかのような表情をしたダルタニャンが立っていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ア…アラミス…?アラミスなのか…?」

ダルタニャンは信じられないといった風に大きく目を見開いた。長く美しい金髪、自分と同じ特徴を持つ前髪…。

「ダルタニャン…!」アラミスがびっくりして立ち上がる。

彼女の声を聞き、ダルタニャンは思わず駆け寄った。

「アラミス!アラミス!!君なんだね?本当に…。顔を良く見せてくれ!」

彼女の顔を両の掌で包み込むようにして覗き込む。微かな動揺を宿すその瞳には、間違いなく自分の姿が映っていた。

「良かった、生きてたんだね。本当に良かった…!」

ダルタニャンはそう言ってアラミスを抱きしめた。彼女の身体が温かい。衣服を通して、彼女の鼓動が伝わってきた。

―夢ではない。

この人は間違いなく生きているんだと実感した。

「ちょ…ダルタニャン!痛い、痛いってば…!」

ダルタニャンの腕の中で、アラミスが小さく抗議の声を上げた。見ると彼女が苦しそうにもがいている。喜びのあまり力を込めすぎてしまったようだ。ダルタニャンはアラミスから腕を放した。

「ごめん、アラミス」ダルタニャンが言う。
「いや…」
「ごめんよ」
「大丈夫だって。もうどこも痛くないから…」
「そうじゃなくて、修道院でのこと。君を助けられなくて…」

あの後パリに戻り事の次第を報告した際、トレビルからアラミスが何をしたのか知らされた。

「そしてありがとう。コンスタンスを守ってくれて…」

ダルタニャンのまっすぐな瞳が彼女を見つめる。アラミスはベチューヌでの一件以来、心の中に生じていた彼らに対するわだかまりが、次第に融けていくのを感じた。

「いいよ…もう…私はこうして生きているんだから…」

アラミスはふい、とダルタニャンから目を逸らした。彼の率直な謝罪と感謝の言葉を受け、つまらないことでいじけていた自分が恥ずかしくなったのだ。

「でもどうして生き返ったんだい?」ダルタニャンが尋ねた。
「ああ…あのときいらした神父様が解毒剤を持っていて…」
「そうだったのか…」

ダルタニャンは、自分達がアラミスを託した神父一行を思い出した。あの時アラミスの生死に見切りをつけたアトスの言葉を鵜呑みにせず、もう少し長くその場に残っていれば、悲しい思いを抱え込んだまま月日を過ごすことも、アラミスを「死なせたまま」にすることもなかったのに、と思うと口惜しい。

何より、助けられる可能性があったのなら、自分達で彼女の命を救いたかった。

だがそんな過ぎたことより、今は彼女が生きていてくれたことに感謝したい、とダルタニャンは思った。

「ところで、ダルタニャンはどうしてここに?」アラミスが、気恥ずかしさを隠すように聞いた。
「ああ…えっと…この屋敷が取り壊されるって、知ってる?」ダルタニャンが言う。
「うん」
「トレビル隊長からさ、もしかしたらアンリ四世陛下の遺品がまだ残されているかもしれないから、国王陛下とフィリップ殿下のためにその遺品を探して来いって言われて来たんだけど…君は何か知らないかい?」
「この屋敷にあったアンリ四世陛下の遺品はすべてダニエル侯爵が持って行ったよ。もうここには何も残されてない」

アラミスは妙だなと思った。このことは機密文書事件のおりトレビルに報告したはずなのだが…。恐らくダルタニャン達に生きていることを知らせるつもりなど自分には毛頭なかったことを察し、屋敷の改築とアンリ4世の遺品を口実にダルタニャンをノワジーに向かわせたのだろう。

この村に来れば、もしかしたら昼間からフラフラと馬を飛ばしている自分と遭遇するかもしれないからだ。

「アトスとポルトスは?君一人で来たの?」アラミスは辺りをきょろきょろ見回しながら聞いた。

「二人とも戦争が終わった後銃士を辞めたよ。アトスは親戚の遺産が手に入ったとかで。ポルトスは以前から付き合っていた代訴人夫人が未亡人になったから、結婚するって。皆君が死んでしまったと思ったからさ。仇も討ったし、銃士隊にもう未練はないって言って」
「そう…」アラミスが寂しそうに微笑む。
「俺、二人に手紙書くよ。君が生きていたって」ダルタニャンはアラミスを元気づけさせようとして言った。目の前で友達にそんな寂しそうな顔をされると、こちらの方が辛くなる。「そしたらまたパリで4人で集まって、一緒にどんちゃん騒ぎしよう!君が生きていることを知ったら二人とも絶対喜ぶよ!コンスタンスもジャンも皆…」

アラミスはそれには答えず言った。

「さあ、もうお帰りよダルタニャン。ここには君が探しているものは何もないんだから…」
「え、あ、うん。そうだね…ところで君はこれからどうするんだい?」
「どうするんだいって?」アラミスがややギクリとして聞き返す。
「いや、一緒に外に出ないのかと思ってさ」

ああ、そっちの意味か…とアラミスは胸をなでおろした。今後自分がどうしたいのかについて聞かれたと思ったからだ。

「私はもう少しここにいるよ。今日は、このお屋敷にお別れをしに来たんだ」
「お別れ?」
「ここは…私にとって特別な場所だから…」そう言って、聖母マリア像を見上げた。
「そうか…そうだったね…」ダルタニャンもつられて、像を見上げる。
「このマリア像、前からあったのかい?」
「うん。屋敷が立てられる前、ここには修道院があってね。当時からここにあったんだよ」
「ふぅん…。大工さんたちも、建物は取り壊せても、マリア様をどうにかすることはできなかったってとこなのかな」

アラミスがびっくりしてダルタニャンを見つめる。

「どうかした?」
「いや…前にそれと同じことを言われたことが…あったから…」

出会ったばかりの時フランソワに言われたことを思い出し、思わず目頭が熱くなる。昨日といい今日といい、どうしてこう、思いもかけないことが次から次へと起こるのだろう。

「さあ行きなよダルタニャン」涙を見せまいと、彼の背中をそっと押した。「隊長が報告を待ちわびてるだろうから…」
「おっと、そうだった!」

ダルタニャンは慌てて出口に向かったが、出て行く直前突然振り返ると大きな声で言った。

「俺、必ずアトスとポルトスに手紙出すから!だから約束だよ!4人で絶対パリで会おう!!」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



それから2ヶ月後の昨日、ルネは久しぶりにかつての仲間に会った。ダルタニャンが手紙を出し彼女の無事を伝え、互いの都合を調整した結果、この日に会うことになったのだ。

久しぶりに男装してパリに行く。そして自分が銃士だった最後の日に皆で飲んだ居酒屋に集まり、昔のように派手に騒ぎ立てた。

そこで彼女はラ・ロシェルの戦いの後ダルタニャンが銃士隊副隊長に昇進し、コンスタンスと結婚したことを知った。

アトスとポルトスは領地に戻り、領主として生活をしている。

―皆、変わっていくんだな…。

ノワジー・ル・セックは今日も遠乗り日和。彼女は馬に揺られながら、物思いにふけっていた。

あの屋敷も解体作業が始まっている。アトスもポルトスもダルタニャンも、新たな目標を持ち、前に進んでいる。

―でも私は…?

ふと、自分の身を振り返る。私は変わっただろうか、フランソワを失ったあの日から…。復讐を成し遂げたあの日から…。前に進めているのだろうか。

最初は、前に進めていると思っていた。復讐を終え、気持ちに区切りをつけ、修道院に入って…。でもそれが思いもかけない形で絶たれてしまい、この村に戻って来てからは、まるで道に迷った幼子のように、寄る辺ない気持ちを抱えている。

悲しみを乗り越え、気持ちに一定の区切りをつけ、新たな人生を歩み始めた友人達と会ったことで、今は生きる目標もない自分が、ただでさえこれから自分がどうしたいのか見当もつかない自分が、堪らなく情けなく思えて来た。

そしてベチューヌから戻って来て以来、初めて心の底から「前へ進みたい」と思った。今の自分をなんとかしたい、と。

次彼らに会うときは、せめて彼らと肩を並べられるくらいになっていたい、と。

だが、今はまだどうしたら良いのか分からない。

気が付くと、馬はいつも通っている教会に着いていた。

―また、話を聞いてもらおうかな。

彼女は馬から下りると、近くにいた寺男に声をかけた。

「デルブレー神父様はいらっしゃいます?」
「ええ、あちらに。今日も貴女様が来られるのを待っておりますよ」

寺男そういうと、彼女を神父の待つ、教会の一室に案内した。


〜終〜


<<before    


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<補足説明>


よっしゃー!これでノワジーにイエズス会の修道院ができることになったから、以前ブログに書いた「20年後、原作通りダルをアラミスに会いに行かせて狐と狸の化かし合いを演じさせて、アラミスがダルを村の入り口まで見送る→ダルの姿が見えなくなった後アラミスは村の中まで引き返す→ダルはこっそりアラミスの後をつけて行く…とアラミスは誰かと逢引きしていた」への布石ができたぜ!やらないと思うけど(笑)。

この後「おねだり」と「密事」に続くっていう感じです。最初は原作アラミスにとってアニ三アラミスはよくいる女性信者さん、アニ三アラミスにとって原作アラミスは話を聞いてくれる近所の神父様だったんだけど、だんだん親密になっていって―ていうね。今回は原作アラミスの女たらしの部分を書きたかったのと、ちゃんと神父様としての仕事(迷える子羊の指導役・笑)をさせてあげたいなと思っていたのでこんな感じになりました。

当時の神父ってなかなか外に出る機会のない貴族のご婦人の話し相手になっていたとか、じじいと望まない結婚をした女性の夜のお相手をしていたとか聞くのでね。夜のお相手云々はともかく神父って聖職者だから、実際の所カウンセリングみたいなこともしてたと思うし。今流行の「お寺カフェ」みたいな感じ?本来なら神父がご婦人のお宅にお邪魔する形だったようだけど、なんか話の流れ的にご婦人の方が教会に通う形になってしまいました。いやだってアニ三アラミスって絶対外に出たがりそうじゃん。お家で大人しく人が来るのを待ってるタイプじゃない気がして(笑)。

ちなみに、正しい時系列は「出逢い」→「おねだり」→「密事」です。真逆になっちゃったけど(笑)。本当は「おねだり」の「目的を果たし、友とも別れ、生きる意味を見失っていた自分」のところに「信仰の道も絶たれ」が入る予定でした。んでもって「密事」でデルブレー神父が言ってた「貴女が望むのであれば、私は貴女の如何なる罪でも許して差し上げますよ」っていうセリフは元々この「出逢い<6>」に入る予定だったんですけど、入らなかったです。う〜ん、残念。

原作アラミスの言っている測量云々は第3部でベル・イールの建築技師だったというエピソードから。3部であれだけ綿密な要塞作れたりヴォーのお城に仕掛け作ったりしてたってことは結構早くから技師としての勉強してたと思うんだよね。修道院って基本自給自足だから、修道院の建設も修道士達で行われてたなんて話もどっかで聞いたことあるし。実際に彼が人足的な仕事をしていたかはともかく(っていうか、実際に建物建てるのは流石に人足さん達にお願いしてたと思うぞ、憶測だけど)、測量したり見取り図書いたり間取り考えたりってことはしてたんでしょう。

原作アラミスの、アルマンティエールの件に対する追想は、原作4巻7章から。実際こんな風に思ってたかどうかは良く分からないけど、あのセリフ読む限り、彼も色々と思い悩んでいた部分はあったんじゃないかと思います。4巻はもうあれから20年経ってるから本人完全に吹っ切れてるみたいだけど、事件後はしばらくは引きずってたんじゃないかなぁ…。

そしてブログの方に書いた「アラミスが変わった理由(わけ)」「コンスタンスが助かった可能性」はやっぱり全部入りませんでしたねー。まぁ<出逢い>自体この考察の上に立って書いたものなので、改めて話の中で理屈こねまわすのもどうかと思うしブログの方でも補完してあるからまぁいっかって思ってます。

多分この話読んでてくれたアニ三スキーの方のほとんどの方が「アラミスとダル・アトス・ポルトスの仲はどうなるの!?」っていうことに関心があったのかもしれませんが、書いてる本人はあの4人のことは一番どうでもよく(爆)、アラミスとアラミスの関係にしか興味ないんですよってことを敢えてここに特筆しておこうと思います(笑)。じゃなきゃアラアラなんてカップリングやらないし。っていうか「すり替わった〜」でもそうなんだけど、私アニ三がああいう設定を持ちああいう形で終わった以上、アニ三アラミスは銃士やめたらアトス・ポルトス・ダルタニャンとは距離を置くべき、というのが信条なのでね。まぁ今回は結構仲良しな感じで終わったけど。我ながら、以前は同人誌や周りの創作話に大いに感化されてたなぁと思いますよ。すみませんね、感覚ズレてて^^;

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