<兄の思惑>あとがきというか言い訳

 なんか兄さんに物持ち良い属性がついとる…(笑)。

スペインに行くのはいいとして、アラミスってスペイン語喋れるの?とうかそもそもこの人、外国語の勉強なんてまともにしたことあるんだろうか、と思ったのがきっかけ。

当時の女子教育って実際どうだったのか…「近世」って時代区分の範囲が広すぎてどこを拾ったらいいのかが良く分からない部分があったりするんですが(汗)、いずれにしろ将来の結婚見越した花嫁修業的な要素も大きかったみたいだし、国際結婚前提の王族は外国語も教わってたようだけど、田舎貴族の娘の場合は読み書きすら教えてもらえなかったなんて話も聞いたことがあるし…結構家柄でピンキリなイメージが。。。

まぁこの人の場合、読み書きは普通に教えてもらってたみたいですが、後見人の教育方針として「読み書きだけでも贅沢なのに外国語なんて…」だったのか、「どこに出してもおかしくないように最高レベルの教育を施そう」だったのかがよく分からないんですよねぇ。

当時の男尊女卑感を考えるとアトスやポルトスやダルや、ましてや原作のご本人と同じ教育レベルと考えていいんだろうかという疑問があることにはあるんですが、銃士隊で男の中で生活していて、教養面でボロが出なかったと考えると当時としては相当高い教育を受けていたと考えるべきなのかも。

と仮定してここでは後者の教育方針をとったんですが、この人結構「親の心子知らず」な部分があるしね。親や教師は「将来役に立つから!」と言っていた科目でも自分が特に入れ込んでいるわけでもなく、その「将来への必要性」も感じられない科目に対する勉強意欲って結構低かったりするよね?学問なんて覚えたところで使わなければどんどん忘れていくしね!そもそも子供のころ勉強したことなんてそうそう全部覚えてるかよ!(開き直り)ってことでこんな感じになりました。

ちなみにイエズス会は昔から高等教育に力をいれていたようで(ウィキ参照)、息子をイエズス会系の学校に入れて勉強させる貴族や富裕市民もいたとか。ってことで以前から気になっていた「跡取り息子的な立場の人を修道院に入れるのか」という疑問はクリア!うむ、きっと後見人の叔父さんは教育熱心な人だったに違いない!(教養のためイエズス会系の学校に入れたら素質が認められて修道院に入ることを許されて~という流れでどうかひとつm(_ _)m)

なお原作アラミスの最終目標は法王になることだったと記憶しているのですが、個人的には法王の白いスータンより総長の黒いスータンの方が似合いそうなんで最終目標もそっちに変更してしまいました。まぁ総長はイエズス会につきまとう黒い噂と合わせて「影の法王」とか「黒い法王」って言われてるみたいだからあながち違ってはいないよね。っていうかこの人の場合、絶対そっちの方が性に合ってるって!!

イエズス会の黒い噂については上のウィキにも書いてあります。代表例としてダル物も紹介されているので一見の価値はあるかと。なんだかアラミスってキャラは当時の世間一般もしくはデュマ先生が持っていたであろうイエズス会士のイメージそのものなんだなぁって気がしてきました。

実際「黒い噂」とやらが本当なのかただの噂なのかよく分からないんですが、まぁでも当時のヨーロッパって今みたいにきっちりと政教分離されていたわけではないから、噂が真実であろうがなかろうが何かしら国家機密的な情報は転がり込んで来そうな気はするんですよね。。。

なんだかアンリの中でのルネの位置づけというのが手駒みたいな形になってしまいましたが、手駒じゃなくてあくまで「ビジネスパートナー」です。「戦略的互恵関係」とでもいうか。永遠に仲の良いシュブルーズ公爵夫人って感じ?(ちょっと違うかな…)…要はすっかりお兄さんの陰に隠れてしまった感のあるルネさんですが、裏でしっかりコソコソ動いてるんですよってことで。

余談ですが、中世の女子修道院って公権力や教会公認の売春宿と化していたらしいですが、この頃にはもう風紀改革進んで清貧さ重んじるちゃんとした修道院に全部戻ってるのかな…?利用していた側がメス入れたところで限度がある気がするんですけど(売春宿の隠語が女子修道院なのであって、「女子修道院=売春宿」ではないなど諸説あるようですが)。(というか、ポール・ロワイヤル修道院はルネが生まれるちょっと前くらいまでそんな状態だったようなんですが)。

まぁ上から「ダメ」って言われてすぐに全部なくなるわけないよね、中世が近世になったからってそれまで習慣的に行われていたことがパッタリなくなるわけではないだろうし、ましてや人の意識なんてそうそう変わるもんじゃないだろうし、記録には残ってないだけで多少名残とかがあったりするんじゃね?ってことで、おそらくそいういう裏事情には一番詳しいであろうアンリはルネが修道院行き拒んだことに実は少しホッとしているという裏設定。女子修道院は他の修道会傘下になっちゃうし、他会士がイエズス会員をどう見ているのか知らないわけでもないし、「聖職者=人格者」ではないということは本人が一番良く知っているだろうし、大人しくしていてもらいたいのは山々だけど他の修道会の生クソ坊主どもに何されてもされるがままにされてろとはさすがに言えないし、かといって抵抗して問題起こしたらその後始末が大変だし…という複雑な心境。(教区持ちにでもなればまた別なんだろうけど、まだ司教じゃないしね)
 

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